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ソニーの経営戦略④ ソニーらしさの喪失 [経営-戦略]

 ソニーはこれまで、ウォークマンをはじめ新市場を創造するような商品を生み出してきました。しかし、近年、アップルがiPod、任天堂がWiiを出して新市場を創造してきたのに対し、ソニーは生み出せていません。今回はその原因について考察したいと思います。

 その原因は、簡単にいうとこれまで新市場創造製品を生み出してきたプロセスがなくなってしまったのではないかと思います。プロセスというのは、企業文化でもあります。ソニーは、井深氏・盛田氏の行動や価値基準が企業文化として出来上がり、これまで多くの新市場製品を生み出してきました。つまり、自由で、闊達な、人がやらない、未知なる物に挑戦し、高い壁に挑み続けるという企業文化であり、このような企業文化のもとイノベーションを生み出してきましたが、その企業文化およびプロセスが消えてしまったのではないかと考えます。その要因は「①戦略を実行できなかった」「②短期志向に陥った」の2点と考えます。

 ①戦略を実行できなかった
 1995年に出井氏が社長に就任した当時、「AVとITの融合」のビジョンパソコン事業に参入し「VAIO」をヒットさせました。また、平面ブラウン管テレビ「WGA」、家庭用ゲーム機器「プレイステーション」をヒットさせました。そして、CS放送への進出、インターネットサービスプロバイダ事業にも切り込みました。1999年に、出井氏は日本人で初めて米国ハイテク産業最大のイベントでキーノートスピーチを任され、次のように述べて、世界中が熱狂するインターネット革命の中でソニーの優位性を示しました。「インターネットは、恐竜を滅ぼした隕石のように、産業界の姿を変える。新ビジネスが出てくる一方で、適応できない会社は滅ぶだろう。さらにブロードバンドネットワークも出現する。我々にとっては絶好の機会だ。」「ソニーには、パソコンやデジタルテレビ、パーソナルオーディオなどハードウェアの巨大なパワー、映画や音楽などの膨大なコンテンツがある。ソニーは、ネットワーク社会を見据えたビジネスモデルを作り出そうとしており、ブロードバンド分野でトップ企業5社のうち一角に入る。」
 出井氏が描いたソニーの世界は、デジタル技術とブロードバンド通信のインフラがそろう時代にソニーが飛躍する準備が整い、すべての技術もソフトも手にしているようでした。
 しかし、実際は「AVとITの融合」というビジョンはあったものの、それをソニーが実行に落とすことはできませんでした。特にiPodのような製品は、ソフトである音楽を持ち、ウォークマンというハードを持っているソニーこそが生み出すべき製品だったといえます。
 この理由は、まず戦略を現場の活動に落とすことができなかったためと考えます。「AVとITの融合」という言葉は聞こえはいいですが、では具体的に何をすればいいのかということを落とし込めなかったのではないでしょうか?
 また、同時に組織全体をその戦略実現に向かって方向付けできなかったと考えます。2000年1月、上場3子会社を吸収し、株式交換で100%子会社化しました。その顕著な例がDVDレコーダーです。当時、ソニーコンピューターティメントが鳴り物入りでPSXと発売するのと同時に、エレクトロ二クス部門からはスゴ録を発売しました。結局、スゴ録がPSXを上回りますが、同一製品市場でソニーの製品同士が競い合うことになりました。これこそソニー全体が一つの戦略に向かっていなかったということがわかります。

 ②短期志向に陥った
 出井氏は、ソニー本社を、長期的な視野から投資先の成功を求める積極的な投資家という意味の「アクティブインベスター」定義しました。これは子会社の事業部門に日常の経営や製品戦略の権限を与える代わりに本社がそれら全体のグループ戦略の立案、各事業の監督を担うというものでした。また、それぞれの事業の投資効率を図るため、経営指標として「EVA(経済的付加価値)」を導入しました。

 EVA= NOPAT - 調達資本費用
 NOPAT = 営業利益×(1-実効税率)
 調達資本費用 = 投下資本×資本コスト(WACC)

 企業が確実に資本コストに見合うだけのリターンを毎年生み出し、ひいては企業価値の向上が確実に実現していることを、単年度ベースで一定の評価を行える指標がEVAとなります。EVAは異なる事業部門ごとの評価に向いています。事業ごとのリスクを見極め、それに見合った資本コストを用いて、事業ごとのEVAを精緻に算出することで、継続すべき事業と撤退すべき事業の意思決定が正確に実施できます。。
 EVAに関してはメリットとデメリットがある。メリットとしては、コスト意識の徹底、資産効率の向上、株主に対するアカウンタビリティーの明確化などがあげらます。ただし、デメリットとしては、投資効率を重視するあまり、成長投資に消極的になり、新たな商品企画やプロジェクトが生まれにくくなります。そして、短期的に効果が出やすい経費削減に走りやすくなります。また、各事業部に目標となる数値が設定され、部門間連携が弱体化します。ソニーから新市場創造型の製品が生み出されなくなったのは、このEVA導入により短期志向に陥ったと考えられます。EVAにより、現場のアイデアを切りすてる機会が増え、ソニーからイノベーションが消えてしまったと考えられます。

このようにソニーは、「①戦略を実行できなかった」「②短期志向に陥った」といったことからソニーらしさが失われれしまい、今日に至っているのではないでしょうか。

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